現在とこれから――「シアワセ」から「KissHug」まで


「シアワセ」はそのタイトルからも推測出来るとおり、彼女の幸福論に近い曲になっている。


 aiko曲の象徴である「あたし」「あなた」が互いに離れ、「あたし」が独りになっても、

「あなたの一歩になるならば幸せに思える日が来るのです」
「静かに終わりが来たとしても/最後にあなたが浮かんだら それが幸せに思える日なのです」
 
……と健気にもしたたかなフレーズを残している。
これは恋の成就に涙し、やきもきしていた「ナキ・ムシ」「花火」の頃の次元よりも上位に進んだ考えではないだろうか。



 また続く「星のない世界」「横顔」では「人を好きになると、片想いでも両想いでも切なくなると思う」
「恋している時は切ない」と雑誌で語るように、片想い、両想いという区切りをとっぱらって純粋な「恋」という切ない心理を描くようになり、それは新曲「KissHug」にも通じるものがあるだろう。
「KissHug」に関してはまだ発売になっておらず、ライナーノーツにあたる雑誌の記事も少ないので、題名にも入っているのにあれだが、語るのを控えようと思う。







▽・w・▽





おわりに



 時間の無さ計画性の無さ資料の無さにより、(ホントサーセン)
 大分冗漫で言いたいことが伝わらない駄目研究になってしまった。

 しかしとりあえず解ることは、やはり十年も経つと創作物の世界観というのは大きく変わるものだ、ということだ。
 aikoも例外ではない。

「あした」では「あなた」と「あたし」だけの、幸せだが、閉塞的な世界が開かれることを望んでいる――と書いたが、それに拘らず、十年の内にaikoは恋という現象を色んな局面から捉えるようになってきた。

 ただ「別れ」があるだけではない、「えりあし」
 「シアワセ」で歌われる幸福論というよりも人生観、
 「星のない世界」「横顔」での恋=切ないという概念などなど――

 語彙数も豊富になり表現も複雑なものになってきた。
 文学的な面白さが見出せるのも、初期よりも最近の作品の方が多いのではないだろうか。


 しかし今回はシングル曲だけを取り扱ってきたので、アルバム曲やカップリング曲は対象外にしたことになる。アルバム曲やカップリング曲の方が彼女の本質にたどり着けるし、深い読みが要求されるものが多いのが本当のところであるが、それは今後の課題ということにしよう。




(了)

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 最後に。
 aiko、デビュー十周年おめでとう!
 これからも、あなたにとって、私達にとって、大切な歌を生み出せていけますように。
 これからも、ずっとずっと、大好きです。
ギャー言ってもうたー恥ずかしい!!



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