aikoと最高と最悪の夏 -aikoにおける夏の研究-



■はじめに
 諸君! 夏は好きか? 私は好きだ。むちゃくちゃ暑くて正直毎日やっていられなくなるが、夜は涼しいし夏に纏わるいろいろなものに私の心は刺激される。学生時代には夏休みもあった所為か思い出も多い。夏は好きだ。ファッションも夏が一番好きだ。
 さて我らがaikoのデビュー記念日は梅雨が終わりいよいよ夏も本番になろうとする頃の七月十七日であるので、デビュー記念日をお祝いすると同時に夏が本格的に始まると言う気分になる。私の中でaikoと夏は密接に結びついている。
 そもそも私がaikoを初めて聴いた――aikoという人を知ったのも夏だった。夏とaikoを代表する一曲「花火」が当時ラジオのパワープレイで流れていたのを聴いて、「夏の星座にぶらさがって」という印象的なフレーズとメロディに強く惹かれたのである。あの夏に浮かんだ花火のイメージは今も消えていない。まさかこんなにまで深く人生に関わる存在になろうとは当時は思いも寄らなかったのであるが、そんなわけで夏が来るとどうあってもaikoを想わずにはいられなくなるのである。
 だから、というわけではないが、aikoの曲には夏が多いのではないだろうか。以前ブログにてaiko歳時記と称しaikoの曲を季節で振り分けてみたのだが、aikoが生まれた季節の秋やそれに近い冬は少なく、ぶっちぎりで、不思議と夏が多かったのである。数が多い理由はさておき、数多く描かれるaikoの夏の曲は一体どういうものがあるのだろうか。aikoにとって夏とは一体、どういう季節なのだろうか。

■発売時期における夏
 個別に曲を見ていく前に、シングルとアルバムに限るが、おおまかに発売した季節を計上していくと以下のようになる。

 春(3~5月):15作
 夏(6~8月):12作
 秋(9~11月):12作
 冬(12~2月):9作

 数だけ見れば春にリリースされた作品が多い。小さな丸い好日・桜の木の下・夢の中のまっすぐな道・秘密・BABY・泡のような愛だった・May Dreamと、2017年現在のアルバムの半数以上、そして春に発売されたものの半数を占める七作が春の時期にリリースされていた。おそらくだがツアーも合わせて行う関係上、年度の早い時期にリリースする方がスケジュールを組みやすい、都合がいいなど大人の事情も絡んでいるのだろう。
 アルバムの数でいえば春に次いでいるのが夏(夏服・彼女・時のシルエット)であり、シングルリリースは秋の方が一枚上回っているものの、残暑の厳しい最近だと九月もまだ夏のイメージが強く(晩夏という呼称がよく似合う)「花風」などは9月1日のリリースであるが、夏に発売されたイメージが結構強くある。同じく9月にリリースされた「恋をしたのは」のカップリングが「夏バテ」「微熱」と夏の余韻を残している二曲なのも夏発売かのように思わせる。なお冬はアルバムでいうとベストアルバムのまとめのみで、今後冬のアルバムが出ることを期待したい(もっとも、「暁のラブレター」は冬のアルバムの色味が強いし私も冬のアルバムだと思っている(ツアーも一月から三月にかけて行われた)ただリリースされたのが十一月末のためぎりぎり秋に分類した)


■アルバム時期ごとにみる夏の曲
 電話曲研究でも行ったように、アルバム一枚をタームの区切りとしてそれぞれのタームにどれくらい夏の曲があるかを調べてみた。

 あした~小さな丸い好日:1曲(夏にマフラー)
 花火~桜の木の下:2曲(花火・二人の形)
 ボーイフレンド~夏服:3曲(アスパラ・夏服他)
 あなたと握手~秋そばにいるよ:2曲(あなたの唄・マント)
 蝶々結び~暁のラブレター:2曲(帽子と水着と水平線・最後の夏休み)
 かばん~夢の中のまっすぐな道:0曲
 キラキラ~彼女:5曲(キラキラ・雲は白リンゴは赤他)
 シアワセ~秘密:0曲
 KissHug~BABY:3曲(KissHug・夏が帰る等)
 向かいあわせ~時のシルエット:2曲(恋のスーパーボール他)
 Loveletter~泡のような愛だった:0曲
 あたしの向こう~May Dream:0曲
 恋をしたのは~以降:2曲(夏バテ・微熱)


 筆者が選別した「夏が舞台の曲」に限定したのでこうなったが、「比喩表現として登場する曲」「四季の描写として登場する曲」「歌詞中の思い出の場面として登場する曲」も対象に含めると0曲のタームも一、二曲増えることとなるのをご了承頂きたい。



 さて一目瞭然ではあるが、「彼女」のタームだけぶっちぎりで最多数となっている。発売されたのは夏の厳しさが少し緩まる、お盆も過ぎた八月二十三日だが、この年は初回の開催からおよそ三年ぶりとなるLOVE LIKE ALOHA2が開催されたり、彼女のCMPVのロケ地にひまわり畑が採用されたりと夏を象徴する一枚になっている。アルバムに収録されることが珍しいカップリングの「ある日のひまわり」を収録した理由もaiko曰く「夏に出たことを思い出すきっかけにしてほしい」とのことだったからだ。私もそんなaikoの戦略にちょろく乗せられてしまっているので、夏といえば「彼女」というイメージがある(それでも発売時期の影響もあってどちらかというと晩夏寄りなのだけど)

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